研究概要 |
本研究では二つの主要目標を掲げた。すなわち(1)可視マーカー突然変異の誘発、(2)RAPD分子マーカーを用いたカブラハバチ遺伝子連関地図の作成、である。本年度は、(1)について、昨年度得られた2マーカー突然変異、幼虫眼および成虫眼の眼色をほぼ完全に失わせる突然変異(cream eye color,cec)(胚期にその発現が確認でき、また細胞自律的な突然変異であることから胚期にキメラを検出できる)、および、短翅突然変異(short wing,sw)を利用して、精子を用いた卵細胞質内注射(ICSI,intra-cytoplasmic sperminjection)では受精しか起こらないこと、一方精子変態以前の精細胞を用いた場合には受精は起こらず、キメラを生じることを明らかにした。一部の結果はすでに予報として報告した(J.Reprod.Dev.,43(Suppl.),159-160(1997))。(2)については、遺伝子連関地図の作成は完成にはいたらなっかたが、雌雄いずれも成虫1匹あたり約10μgのDNAが得られること(ランダムプライマーを用いたPCR一回に使用するDNA量は約10ngであるから、1000回分に当たる)、ランダムプライマーを用いた場合連関地図の作成に十分量のRAPDマーカー変異が検出できること、部位地図が作成できたことなど、連関地図作成についてほぼ完全にめどがつけることができた。
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