研究概要 |
1.分子遺伝学的検索 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)13剖検例の各症例について,前頭葉のフォルマリン固定パラフィン包埋切片を用いてDNAを抽出し,KoideらおよびNagafuchiらの方法に準じてPCR法の後,アガロースゲルおよび5%ポリアクリルアミド電気泳動法により,各症例のCAGリピート数を検索した。この検索は13剖検例の全例について終了した。得られたCAGリピート数は55〜80にわたり,全例で増大していた。 2.病理形態学的検索 DRPLA13剖検例の各症例について,中枢神経系の肉眼的および組織学的病変部位と重症度の検索を終了した。主病変部位である歯状核,赤核,淡蒼球,ルイ体における組織学的重症度については,残存神経細胞数の組織定量的検索を行っており,13剖検例中9例について終了したが,他の4例については続行中である。 3.分子遺伝学的異常と病理形態変化の相関の有無についての検討 現時点ではCAGリピート数は脳重量と負の相関をしめす傾向が認められること,副病変(被殻,尾状核,小脳プルキンエ細胞,大脳白質)の組織学的重症度とCAGリピート数との間には相関はみられないことなどの成績を得ている。4例における主病変部位の残存神経細胞数の組織定量的検索を終了させた後,CAGリピート数との相関の有無について結論を出す予定である。
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