研究概要 |
装置の組立:電気生理学的に細胞内電位を記録する装置を組み立てた。この装置は細胞内記録用増幅器(平成8年購入)、オシロスコープ、ディジタルオ-ディオ記録装置からなり、増幅器のプローブを防音室内に置いた防震台の上の脳定位固定装置上に設置。 細胞内記録を取りながらバイオサイチンを単一細胞内に注入するために、通電装置(平成8年購入)を増幅器に接続し、細胞内染色を行えるようにした。また注入細胞の入出力線維を電気的に刺激するためにアイソレータ(平成8年購入)を防音室内に設置した。 麻酔(ネムブタール)深度を防音室の外側から制御するため、防音室外にマイクロインジェクションポンプ(平成8年購入)をおき、それに接続したテフロンチューブを小孔を通して防音室内の動物に取り付けた静脈カテーテルに導いた。これにより動物の麻酔深度を防音室のドアを開けることなく制御することができるようになった。 細胞内記録の試み:細胞内記録を安定してとれるような条件を検討した。その結果動物の麻酔深度、電極の抵抗値、心拍などが単一細胞への刺入、電極の細胞内位置の保持、に強く関わることが判明。自発発火の状態で2層、3層上部の錐体細胞ではあまり著名な抑制性シナプス後電位(IPSP)が見られなかったが、3層下部の錐体細胞は著名なIPSPが見られた。この著名なIPSPが認められたら様々な音刺激条件(片耳か両耳刺激、刺激時間の短長、純音かノイズ)を変え、IPSPの強度の変化を検討し始めた。 細胞内色素注入の試み:ネコ一次聴覚皮質において数個の錐体細胞に2-3%のバイオサイチンを電気泳動的に注入した。0.5秒on-offの周期で2.0nA以上,7分以上注入すると軸索まで染色されることが確認できた。
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