研究課題/領域番号 |
08680829
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
|
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
田沼 直之 財団法人東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 研究員 (00281676)
|
研究分担者 |
川添 陽子 財団法人東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 主任研究員 (60281705)
小島 崇 財団法人東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 主任研究員 (30225429)
松本 陽 財団法人東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 副参事研究員 (90173921)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
キーワード | EAE / サイトカイン / competitive PCR / tumor necrosis factor α / interferon γ / transforming growth factor β1 / interleukin 10 |
研究概要 |
免疫性神経疾患の病変形成および炎症の収束にはサイトカインが深く関与していることが明らかになりつつある。しかしサイトカインは生体内で微量で働く生理活性物質であるため、実際の病変でその量、局在を解析することは困難であることが多い。本研究では、急性単相性および慢性再発性自己免疫性脳脊髄炎(EAE)におけるサイトカイン・プロフィールをcompetitive PCRを用いて解析し、サイトカインが病態にどのように関与しているかを検討した。急性単相性EAEはモルモットミエリン塩基性蛋白をLewisラットに免疫することにより、慢性再発性EAEは1)Lewisラットにモルモット脊髄ホモジェネートを免疫後、サイクロスポリンを投与する(CsA-EAE)、2)DAラットに同系ラットの脊髄オモジェネートを免疫する(DA-EAE)ことにより作製した。これらEAEの各時期の脊髄でのサイトカインの発現をcompetitive PCRを用いて定量した。その結果、急性単相性EAEでは、炎症性サイトカインTNF-α、IFN-γはEAE発症早期に増加したのに対し、抗炎症性サイトカインTGF-β1はEAE極期、回復期に増加し、IL-10はEAE早期に上昇した。慢性再発性EAEでは、TNF-αはCsA-EAE、DA-EAEともに1回目、2回目の極期に増加した。一方、IFN-γはCsA-EAEでは1回目の極期ではサイクロスポリンによってmRNAの発現が抑制され、2回目の極期で最大になったのに対し、DA-EAEでは1回目、2回目の極期に増加していた。さらにIFN一γをCsA-EAEの症状出現前に脳室内投与すると再発回数が増えたり、経過が遷延化するなどEAEが悪化した。これらの所見から、TNF-αはEAEの誘導に関与し、IFN-γはEAEの誘導に必須ではなくむしろEAEの症状の進行に関与していることが示唆された。
|