研究概要 |
アルツハイマー病における選択的な神経細胞死を仲介していると考えられるJNK3情報伝達系に注目し、JNK3結合蛋白の同定およびその解析を試みた。酵母two-hybrid法を用いて単離した新規JNK3結合蛋白(BP#2と命名)について、以下の結果が得られた。 (1)in vivoにおいて、BP#2はJNK1,2,3のうちJNK3と特異的に結合する。 (2)BP#2はJNK3によりリン酸化され、JNK3に対する結合能力を失う。 (3)BP#2は、SEK1(JNKキナーゼ)との結合能も有する。 (4)JNK3およびSEK1は、それぞれBP#2の異なる部位に結合する。 (5)BP#2は、酵母スキャフォールド蛋白STE5とアミノ酸レベルで22%の相同性を示す。 以上の結果から、BP#2はJNK3カスケードにおけるスキャフォールド蛋白として働いていると考えられる。またBP#2/JNK3複合体は、JNK3によるBP#2のリン酸化により解離すると推察される。
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