研究概要 |
シナプス伝達、特にシナプス前終末での情報伝達分子機構解明を目指している。シナプス前終末では、シナプス小胞の挙動からその過程がTargeting,Docking,Priming,Fusion及びExocytosisに大別される。本研究では初期段階であるTargetingと最終段階のExocytosisを中心に解析した。そのため、各段階に働く遺伝子を同定し、遺伝子産物の相互作用をin vitroで解析する手法を採用した。 Syntaxinをコードする遺伝子を同定し、本タンパクの生化学的性状を明らかにした。次いでin vitroでUNC-18タンパクと結合することを明らかにした。UNC-18はシナプス小胞と親和性があり、14-3-3タンパクと類似性がある。こうしたことから、UNC-18はSyntaxinのconformationを変化させ、シナプス小胞と結合させるシャペロンタンパクである、とする仮説を提示した。この仮説を証明するため、unc-18突然変異体がコードするタンパクとの結合実験を行っている。 一方、Exocytosisにはfast exocytosisとslow exocytosisの2つのヘテロな過程が電気生理学的実験から明らかにされている。fast exocytosisはsyntaxinとsynaptotagminの相互作用によることが判明しつつあるが、slow exocytosisについては全く不明である。我々はこの段階にもsyntaxinが関与していると考え、syntaxinと結合する他のCa^<2+>-センサータンパクを探索した。その結果、UNC-13がsyntaxinと結合することを発見した。UNC-13については既に多数のmutantを得ており、これらがコードする変異タンパクとsyntaxinの結合実験からこの過程の詳細を明らかにしつつある。
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