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1996 年度 実績報告書

神経系の形態形成に関わるPASII/PMP22遺伝子発現の調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 08680846
研究種目

基盤研究(C)

研究機関慶応義塾大学

研究代表者

武田 泰生  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245462)

研究分担者 植村 慶一  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
キーワード末梢ミエリン蛋白質 / PASII / PMP22 / シュワン細胞 / 遺伝性ニューロパチー / 細胞増殖抑制 / ミエリン形成
研究概要

我々はこれまでに神経系発生過程におけるPASII/PMP22の発現様式を抗体を用いた免疫組織染色並びに新生マウスの脊髄後根神経節細胞のシュワン細胞の共培養系を用いて検討した。PASII/PMP22がラット坐骨神経のコンパクトミエリンに限局して発現すること、その発現はシュワン細胞が神経軸索と接触することにより急速に誘導されること等を示し、PASII/PMP22がシュワン細胞の増殖並びに分化が関与する可能性を示した。今回は末梢ミエリンの形態形成過程におけるPASII/PMP22の発現及び機能解析を目的としてPASII/PMP22遺伝子導入による強制発現細胞株を確立し、この発現細胞株を用いたPASII/PMP22の機能解析を行った。
ラットPASII/PMP22cDNAをpBactSTneo発現ベクターに挿入し、ラットC6グリオーマ細胞に導入した。RNA northern blot hybridization及び抗体による免疫染色により細胞を選択し、強制発現細胞株を樹立した。これを用いて、細胞増殖におけるPASII/PMP22発現の影響に関して検討を行った結果、形質導入してない対照群に比べて2種のPASII/PMP22発現細胞の増殖は著しく低下した。次に細胞分裂の指標となるBrdUの取込みを比較した結果、pBactSTneo発現ベクターのみを導入した対照C6neo細胞における取込み率に比べて、PASII/PMP22発現細胞におけるBrdUの取込み率は有意に減少した。この結果かPASII/PMP22の発現が細胞の分裂増殖停止機構に深く関与している可能性が示された。
Charcot-Maarie-Tooth(CMT)病1AにおいてPASII/PMP22の発現が正常の1.5倍に増加するCMT病1A、正常の0.5倍に減少すると圧感受性遺伝性ニューロパチーが発症する。本研究結果は、シュワン細胞にPASII/PMP22が過剰発現することに伴う分裂増殖能の低下がミエリン形成不全の起因となる可能性を示すものであり、正常なミエリン形成の為にはPASII/PMP22の発現量を一定レベルに保つ必要性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takeda,Y.,Asou,H.,Murakami,Y.,Uyemura,K.他: "A non-nearcnal isoform of cell adhesion molecule L1 : fissue specific expression and functional analysis." Jounal of Mearochemistry. 66. 2338-2349 (1996)

  • [文献書誌] Uyemura,K.,Asou,H.,Yazaki.T.,Takeda,Y.,: "Cell adhesion proteins of immunoglobulin superfamily in nervous system." Essays in Biochemistry. 31. 37-48 (1996)

  • [文献書誌] Ikawa,H.,Kawano,H.,Kawamura,K.,Takeda.Y.,他: "Impaired expression of neural cell adhesion molecule L1 in the extrinsic nerve fibers in Hirshsprung's disease." Jounal of Pediatory Surgery. (in press). (1997)

  • [文献書誌] Fukuda,T.,Kawano,H.,Takeda,Y.,Kawamura,K.,他: "Immunohistochemical localization of Neurocan and L1 in the formation of thalamocortical pathway of developing rats." Jounal of Comparative Neurology. (in press). (1996)

  • [文献書誌] 武田泰生,植村慶一: "gas3/PMP22/PASII" 実験医学別冊,バイオサイエンス用語ライブラリー「アポトーシス」. 80-82 (1997)

  • [文献書誌] 武田泰生,植村慶一: "免疫グロブリンスーパーファミリー「L1とMAG」" 現代化学増刊「細胞接着分子-その生体機能の全貌-」. 114-119 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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