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1997 年度 実績報告書

神経系の形態形成に関わるPASII/PMP22遺伝子発現の調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 08680846
研究種目

基盤研究(C)

研究機関(財)東京都老人総合研究所

研究代表者

武田 泰生  (財)東京都老人総合研究所, 実験生物学部門, 主任研究員 (60245462)

研究分担者 植村 慶一  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
キーワード末梢ミエリン蛋白質 / PASII / PMP22 / シュワン細胞 / 遺伝性ニューロパチー / 神経突起伸長抑制 / ミエリン形成
研究概要

PASII/PMP22は末梢神経系に特異的に発現する蛋白質であり、脱髄、再ミエリン化、オニオンバルブ等の組織残像を示し、進行性の歩行障害を主微とする常染色体優性遺伝性神経疾患、Charcot-Marie-Tooth病1A型の原因遺伝子であることが明らかにされている。我々は昨年度までに、1)PASII/PMP22が末梢性コンパクトミエリンに特異的に発現すること、2)この発現はシュワン細胞が神経軸索と接触することにより誘導されること、さらにPASII/PMP22遺伝子を導入したラットグリオーマ由来のC6細胞を用いて細胞増殖におけるPASII/PMP22発現の影響を検討した結果、3)PASII/PMP22の発現量に依存して細胞増殖が抑制されることを明らかにしてきた。
本年度はこのPASII/PMP22強制発現細胞株を用いて、細胞接着、神経細胞突起伸展、及び神経細胞移動に関するin vitroでの効果的な生理活性分析システムを利用し、一連の生理作用発現機構におけるPASII/PMP22の機能的役割を末梢ミエリンの主要構成蛋白質であるP0と比較検討した。その結果、1)P0が協力な細胞接着能を持ち、ミエリンのコンパクション並びにその形態維持に関与するのに対し、PASII/PMP22はPASII/PMP22-PASII/PMP22ホモフィリック結合を介した細胞接着能を持たないことが明らかとなった。2)P0発現細胞上では脊髄後根神経節細胞は対照群に比べて突起をより長く伸長するが、一方、PASII/PMP22発現細胞上では逆に対照群に比較して突起の伸長は短く、樹状化も抑制されることが明らかとなった。
P0とPASII/PMP22は、発現時期や発現部位において非常に類似しているが、両者の機能は明らかに異なっており、特に、神経細胞突起伸展作用においては拮抗関係にあることが示唆された。これは両蛋白質の発現のタイミング並びに発現量の微妙なバランスが、ミエリン形成の進行を制御すると共に、軸索の伸長-停止のタイミングの決定にも関与している可能性を示している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Ikawa,H.,Kawano,H.,Takeda,Y.,et al.: "Impaired expression of neural cell adhesion molecule LI in the extrinsic nerve fibers in Hirschsprung's disease." J.Pediat.Surgery. 32. 542-545 (1997)

  • [文献書誌] Fukuda,T.,Kawano,H.,Takeda,Y.,et al.: "Immunohistochemical localization of Neurocan and LI in the formation of thalamocortical pathway of developing rats." J.Comparative Neurology. 382. 141-152 (1997)

  • [文献書誌] 武田泰生、阿相皓晃、植村慶一: "LIとPO蛋白質" 蛋白質核酸酵素. 42. 542-551 (1997)

  • [文献書誌] 武田泰生: "細胞接着分子LIの構造と機能の解析" ブレインサイエンス. 8. 271-283 (1997)

  • [文献書誌] 武田泰生: "器官形成・組織構築と接着分子" 臨床免疫. (in press). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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