研究概要 |
ラット脳(8-10週令、約60g)よりNGFI-B kinase Iを精製した。100,000xg上清をDEAE-Sephacel,Phenyl-Sepharose,Bio ScaleQ20,Superose6,NGFI-B327(O)-Sepharose(アフィニティークロマトグラフィー)によって約544倍に精製した。分子量は52kDaであった(p52NGFI-B kinase)。精製標品をSDS-PAGEで電気泳動後、PVDF膜にエレクトロブロッティングし、マイクロシークエンスによりN末端のアミノ酸配列を決定した。その結果、p52NGFI-B kinaseのN末端は、QGTKAPEXKTANTであり、この配列はプロテインキナーゼC betaの312残基めからに一致した。そこで、p52NGFI-B kinaseがプロテインキナーゼC betaのフラグメントであるか否かを調べるために、ウエスタンブロッティングを行った。プロテインキナーゼC beta1及びプロテインキナーゼC beta2のC末端抗体(Santa Cruz社)によって、p52NGFI-B kinaseは認識されたが、プロテインキナーゼCのhinge region(292-317残基)に結合するモノクロナル抗体(Santa Cruz社)では認識されなかった。これらの結果はp52NGFI-B kinaseがプロテインキナーゼC betaのC末端フラグメントであることを示唆している。これはプロテインキナーゼC betaのN末端側の調節ドメインを欠いたキナーゼドメインに相当し、従って、カルシウムイオンおよびホルボールエステルによる調節をうけない活性型であると考えられる。
|