研究概要 |
NGFI-B kinase Iは、PC12細胞をNGFで刺激した際に活性化されるが、ラットでは発育の過程で発現し、胎児脳と生後数週令の脳では分子種が異なる。昨年度はラット脳(8-10週令、約60g)よりNGFI-B kinase Iを精製し、アミノ酸の部分配列からNGFI-B kinase IはProtein kinase C-betaのC末端フラグメントでカルシウムイオンおよびホルボールエステルによる調節を受けない活性型であることが明らかになった。分子量は約52kDaであった(p52NGFI-B kinase)。実際プロテインキナーゼC-betaは、p52NGFI-B kinaseのN末端の位置でカルパインによって、切断されることが示されており、p52NGFI-B kinaseは生理的にも脳内で働き得ると考えられる。プロテインキナーゼCはカルシウムやジアシルグリセロールによる調節の他に限定分解による活性化も重要であることが示唆された。 一方、胎児型NGFI-B kinase Iはin gel assay法で分子量約95kDaを示し、一部自己リン酸化された。その活性はE16-E18でピークとなり脳の発達と関連していると考えられた。アミノ酸の部分配列を決めるために、ラット胎児16日(E16)脳の100,000xg上清をDEAE-Sephacel,Phenyl-Sepharose,BioScaleQ20,Superose6,NGFI-B327(O)-Sepharose(アフィニティークロマトグラフィー)によって精製している。
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