研究課題/領域番号 |
08680853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
大迫 俊二 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経細胞生物学研究部門, 主事研究員 (50152103)
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研究分担者 |
高松 芳樹 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経細胞生物学研究部門, 主事研究員 (50250204)
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キーワード | 神経発生 / ヘリックス・ループ・ヘリックス / 転写調節 / リプレッサー / コリプレッサー / アクティベータ- / WRPWモティーフ / Schneider細胞 |
研究概要 |
神経発生を制御する分子機構を明らかにするための一つのステップとして、ヘリックス・ループ・ヘリックス転写因子Hairyによる異所性の神経発生の抑制機構について研究を進めている。これまで、我々はHairyはその標的遺伝子Achaeteの5'上流に存在するCACGCG配列に結合しAchaeteの転写活性化を抑制することによって異所性の神経細胞の発生を防ぐことを明らかにしてきた。本年度は、HairyがDNAに結合してからいかに転写を抑制し神経発生をネガティブに調節するかについて検討した。 Achaeteの5'上流にあるHairy結合部位を酵母のGal4の結合部位に置き換えたAchaete5'上流0.9kbpをルシフェレース遺伝子と繋いだレポーターを作成し、Daughterless、AchaeteとGal4DNA結合ドメイン(DBD)-Hairy融合発現ベクターを、Schneider細胞で一過性に発現させ、転写活性化に対する抑制作用を調べた。一連の欠失変異体Gal4DBD-Hairyの解析から、Hairy bHLH関連タンパクすべてのC末端に存在する4アミノ酸のみからなるWRPW(Trp-Arg-Pro-Trp)モティーフが、転写抑制に十分な機能ドメインであることが判った。さらに、WRPWモティーフは、それ自身はDNA結合能を持たないWD40リピートを持つGrouchoコリプレッサーとの結合に十分な機能ドメインであること、Groucho関連タンパクのN末端側に進化上良く保存された転写抑制ドメインが存在することが明らかになった。このように、Hairy bHLH関連タンパクはWRPWモティーフを介して、DNA結合能を持たないGrouchoコリプレッサーを特定のDNA配列に繋ぐことによって転写を抑制し神経発生をネガティブに調節するものと考えられた。 今後、in vivoにおけるこれら転写抑制ドメインの機能を明らかにしたいと考えている。
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