内向き整流カリウム(K^+)チャンネルの活性化機構とG蛋白質との連関を明らかにし、このK^+チャンネルのin vivo、特に脳における生理的機能を明らかにする目的で、(a)脳や心臓の血管平滑筋に存在して自律神経による血管のトーヌス調節に重要な役割を果たしており、G蛋白質による活性化調節が示唆されているATP感受性K^+チャンネル(BIRチャンネル)と、(b)同じく脳と心房に存在し、G蛋白質βγサブユニットにより活性化されるGIRK1チャンネルとを外来性に導入したトランスジェニックマウス作製を試みた。 1)BIRチャンネルcDNAとBIRチャンネルと複合体を形成すると考えられているsulfonylurea受容体(SUR)cDNAを、ラット大脳・心室と膵臓よりそれぞれクローニングした。 2)上記BIRチャンネルとSUR、およびGIRK1チャンネルに対するcDNAを、誘導発現可能にするため、hCMV minimal promoterとtet-operatorの下流に組み込んだDNAと、hCMV promoter/enhancer下流にtetR-VP16遺伝子を組み込んだDNAとを調製した。 3)これらのDNAをマウス受精卵前核にmicroinjectionし、偽妊娠代理母の輸卵管内に移植し、マウスを出産させた。 4)生まれたマウスの尾より高分子量DNAを調製し、PCR法やSouthernblot法により、外来性のBIRチャンネルとSURcDNAの発現ユニットがゲノムに組み込まれたマウスを確認出来た。これらのマウスを交配し、その仔の中で外来性DNAの組み込み部位に関してホモであるマウスを、それぞれのDNAにつき最低2系統を樹立しつつある。また、GIRK1チャンネルとtetR-VP16遺伝子に関しては、発現ユニットの構築法を変えて、受精卵へのmicroinjectionを続行中である。
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