概日リズムをもたらす生物時計は、哺乳類では視交叉上核(SCN)に存在する。SCN細胞を神経芽細胞腫と細胞融合することによって不死化し、遺伝的、細胞生物学的性質の均一な細胞群(クローン)を得ることを目的に下記の実験を行い、結果を得た。(1)細胞融合法の確立:分散化したマウスのSCN細胞を、神経芽細胞腫と細胞融合するための条件を検討したところ、phytohemagglutinin-P(PHA)を含む培地に懸濁し、37Cで10分間incubationした後、ポリエチレングリコールを室温で作用させる方法が一番効率が良く、かつ細胞の生存率も高かった。(2)不死化神経細胞の獲得:上記方法で融合した細胞のみを、特殊な培地で選択したたところ、30コロニー得られた。(3)細胞のクローン化:得られたコロニーの細胞を低密度で培養し、染色体構成や細胞学的性質の均一な細胞群を7クローン得た。(4)継代による染色体数の変化の検討:得られたクローンを5世代、継代する間に染色体数は変化していった。ところが、10世代継代するとその後はあまり染色体数が変化しないことから、10世代継代後にもう一度クローン化することによって安定したクローンが得られることが解った。
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