研究概要 |
脳磁計による脳磁場測定は時間的空間的分解能が良好なことにより、ヒトの高次脳機能理解に極めて有用な測定法として注目されている。脳磁計による脳機能局在推定は最小二乗法を用いて計算により磁場源を推定する。さらに得られた結果は、脳磁図測定時の座標系とMRI画像の座標系を一致させことにより、MRI画像上に表現する。従って、脳磁図で得られた機能局在部位の妥当性を評価する絶対的基準は存在しない。一方、PETやfMRIは脳の活性化に伴う二次的血流増加を直接的に画像化することができる。またfMRIは非侵襲的脳機能測定法の中で最も優れた空間分解脳を有する。そこで我々は白黒チェッカーボードパターンを左右の半視野と左右の上下1/4視野に提示し、同一被検者より視野誘発磁場とEPI法によるfMRIの測定を試みた^<1)>。そして、それぞれの測定法により得られた機能局在部位を比較検討し、脳磁図による機能局在推定の妥当性を評価した。視覚誘発磁場のP100mの磁場源はfMRIによる活性化部位の近傍に推定された。我々の結果ではP100mの磁場源はすべて刺激対側の鳥距溝近傍に推定され、さらに下1/4視野と上1/4視野刺激ではP100mの磁場源は鳥距溝下方の舌状回上で上下に分離して推定された。しかしfMRIでは1/4視野刺激による活性化部位は分離されなかった。脳磁図とfMRIにより推定された視覚機能局在部位が一致しなかった理由は現時点では明かではないが、一つには脳磁図では活動している神経細胞群を一つの電流双極子で表現するためであり、一つにはfMRIは神経細胞の活動による二次的血流の増加を視覚化しており、さらに時間分解能が分単位であることもその原因と推定される。 今後、より狭い視覚野を刺激する刺激パラダイムを考案し、ヒトのレチノトピーの詳細を明らかにする。 参考文献 1)Y.Takanashi, K.Yoshikawa, K.Iwamoto, et al.Comparison of functional localozation in human visual cortices using MEG and fMRI : A Preliminary Report.Recent Advances in MEG and funtional MRI. Electroencephal.clin.Neurophysiol.,Suppl.47 : pp59-63,199
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