研究課題/領域番号 |
08680866
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高梨 芳彰 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (40171459)
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研究分担者 |
牧野 雅弘 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80271162)
成瀬 昭二 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (50106407)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 非侵襲的脳機能イメージング / 脳磁図 / 機能的核磁気共鳴断層法(fMRI) / 視覚誘発磁場 / 逆問題解法 / 格子点移動法 |
研究概要 |
脳磁計による脳機能局在推定は被験者の頭蓋形状に近似した仮想球モデル内に単一あるいは複数の電流源を仮定した最小二乗法により行われる.さらに得られた結果は脳磁図測定時とMRI撮影時の座標系を一致させて、MRI画像上に表現される.一方、fMRIでは脳活動に伴うBOLD効果や皮質静脈の血流増加に基づいて機能画像を作成される.つまり脳磁図は神経活動による電気信号(一次反応)を直接記録することが出来るが、fMRIは神経活動に伴う代謝や血流変化(二次反応)を記録することが出来る.モダリティの異なる二つの機能画像技法には利点と欠点が存在する.そこで我々は同一の視覚刺激パラダイムを用いて両者の機能画像を得て、比較検討を行ってきた.さらに脳磁場による電源推定法の新しい解析法を考案し、その臨床的有効性も検討した. 視覚刺激としては白黒チェッカーボード反転刺激を用いた.左右半視野刺激ではfMRIの活動部位も視覚誘発反応の潜時100ms成分の電流源も刺激対側の鳥距溝周囲に同定された.四分の一視野刺激では電流源は刺激対側の鳥距溝下方の舌状回付近の上方と下方に分離して同定された.しかしfMRIでは上方四分の一と下方四分の一刺激で両者の活動部位がかなり重複していが、上方刺激ではより下方へ、下方刺激ではより上方へ活動部位が移動していた.これらの結果はfMRIの活動部位はBOLD効果に加えて神経活動部位より離れた皮質静脈の血流増加が反映しているために活動部位に重複がみられたものと解釈される.そこでこれまでの単一あるいは複数電源を仮定した電源推定法を改良した「格子点移動法」なる解析法を用いて同一のデータを解析した.この解析法は仮想球モデル内に32個の電源の存在を仮定して、最小二乗法により解析する.シュミレーション実験では二つの電源が存在すれば32個の電源が二つの集合に分離することを確認した.さらにこの方法はある広がりを有する電源推定や、電源数が未知の場合に有効な解析法である.解析結果は単一電源推定法に比べて、より浅く推定された.また推定部位は刺激対側の烏距溝の上下に推定され、fMRI同様に推定部位には重なりを認めた.今後、モダリティの異なる機能画像技法を用いて脳機能イメージング測定を行い、両者の結果を比較検討する必要が高まるものと考えられる.
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