研究課題/領域番号 |
08680876
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
小島 比呂志 理化学研究所, 記憶学習機構研究チーム, 研究員 (50281671)
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研究分担者 |
柳原 大 理化学研究所, 記憶学習機構研究チーム, 研究員 (90252725)
古屋 茂樹 理化学研究所, 糖細胞情報研究チーム, 研究員 (00222274)
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キーワード | 長期抑圧 / AMPARチャンネル / ノイズ解析 / シミュレーション |
研究概要 |
中枢神経系の記憶・学習の基礎と考えられているシナプス可塑性において、受容体レベルでの素過程を明らかにする為、赤外線顕微鏡下にスライス標本から同定された神経細胞にパッチクランプ法を使って実験を行なった。シナプス可塑性の例として小脳プルキンエ細胞における長期抑圧(LTD)を調べた。小脳におけるLTDは、AMPA型グルタメイト受容体(AMPAR)がリン酸化等により修飾された結果起すその性質の変化が、素過程と考えらる。LTDにおけるシナプス電流の減少は、三っつの仮説によると考えられる。1)AMPARチャンネルのカイネティクスの変化。2)単一チャンネル電流の変化。3)活性可能なAMPARの数の変化。本研究ではこれらの仮説を検討する為にwhole cellおよびshingle channel電流記録を行い、得られた実験結果を基に非定常ノイズ解析及びシミュレーション解析を行なった。 本研究の結果、、LTDにおけるシナプス電流の減少は、1)シナプス下膜に存在する活性可能なAMPARの数の減少、あるいは、2)平行繊維シナプス終末から放出されるグルタメイトとAMPA型受容体のアフィニティ減少という二つの素過程により説明可能であることが示された。この結果は、シナプス可塑性の素過程の研究に新しい知見を与え、更に、今後のシナプス可塑性の研究に一つの方向性を示すと考えられる。
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