本研究は大脳皮質の帯状皮質運動野の機能的特性、特に運動の切り換えにどのように関与しているかを明らかにするために計画されたものである。本年度はニホンザルに以下の運動課題を学習させた。 サルが右手をホールドポジションに保と、2.5-4.5秒後に運動のトリガ信号であるライトが点燈する。この時サルは「押す」あるいは「回す」のいずれかの動作を選択して行い、正確な報酬が得られる(任意の一つを正確と決めておく)。一度正解をみつけたあとは、同じ動作を繰り返すことにより報酬が得られるが、ランダムな試行回数(3-6回)後報酬の量が次第に減少する。この時、繰り返してきた動作と違うもう一つの動作を行えば報酬の量が元に戻る。ただし、報酬の量が減少していない時に動作を切り換えたときには不正解となる。 この研究では主に、サルがこれまで行ってきた動作を違う動作に切り換える時期に焦点をしぼり、その時の細胞活動の変化に着目した。これまで、一匹のサルの吻・尾側帯状運動皮質から細胞活動を記録したところ、尾側部に比較して吻側部で動作の切り換えを反映しているとおもわれる活動がより多く認められた。細胞活動の記録は現在も継続中である。
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