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1996 年度 実績報告書

前頭連合野の作業記憶過程におけるノルアドレナリン受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 08680889
研究種目

基盤研究(C)

研究機関北海道大学

研究代表者

澤口 俊之  北海道大学, 文学部, 助教授 (00183830)

キーワード前頭連合野 / ノルアドレナリン / α2受容体 / 作業記憶 / 局所注入
研究概要

本研究の目的は、前頭連合野の作業記憶過程におけるノルアドレナリン受容体(α1、α2、β)の役割を明らかにすることにある。この目的のため、今年度は「局所薬物注入法」による実験を展開した。まず、サルに眼球運動による遅延反応(oculomotor delayed-response,ODR)を訓練した。この課題では、サルは数秒の遅延期の前に提示された視覚刺激の位置に記憶誘導サッケードをすることが課される。この課題を正しく行なうためにはターゲットの位置を遅延の間に覚える必要があり、空間情報の作業記憶が必須である。
サルがこの課題を行なっている際に、マイクロシリンジを用いて各種ノルアドレナリン受容体阻害剤を前頭連合野に局所的に微量注入し(4〜10 μg/μ1, 3 μ1 ; 1セッションで1注入)、課題遂行に対する効果を解析した。その結果、
1)α1受容体の阻害剤、prazosinやβ受容体の阻害剤、propranololの注入は、ODR課題遂行に有意な影響を持たないこと。
2)α2受容体の阻害剤yohimbineの注入によって、ODRでの記憶誘導サッケードの精度が下がり、正答率が低下すること。
3)Yohimbineの効果は記憶誘導サッケードの「精度」に特異的であり、サッケードの反応時間(潜時)や速度には影響を持たないこと。
4)Yohimbineは視覚誘導サッケード課題にはなんの効果も持たないこと。
などの諸点が明らかになった。
これらのデータは、前頭連合野におけるα2受容体の賦活が、作業記憶過程に特異的に関わることを示唆する。つまり、ノルアドレナリン受容体、α1、α2およびβの中で、α2受容体が前頭連合野の作業記憶過程に重要であり、かつ、作業記憶過程の特別な側面(おそらく記憶の保持そのもの)に特異的に関与すると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Sawaguchi: "Functional modular arganization of the primate prefrontal cortex for representing working memory process" Cognitive Brain Research. 5. 157-163 (1996)

  • [文献書誌] T.Sawaguchi: "Application of the GABA Antagonist Bicuculine to the Premotor Cortex Reduces the Ability to Withhold Reaching Movements by well-Trained Monkeys in Visually Guided Reaching Task" Journal of Neurophysiology. 75・5. 2150-2156 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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