研究課題/領域番号 |
08680892
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
白さき 哲哉 関西医科大学, 医学部, 講師 (30264047)
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研究分担者 |
久場 健司 名古屋大学, 医学部, 教授 (60080561)
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キーワード | シナプス可塑性 / 末梢神経 / ニコチン性アセチルコリン / 微小シナプス後電位 / パッチクランプ / 細胞内Ca^<2+> / カルモジュリン依存性キナーゼ |
研究概要 |
我々は昨年度ムスカリン性アセチルコリン(ACh)受容体拮抗薬存在下に、応答を惹起しない低濃度のAChを1分間投与すると約20秒後から内向き電流が惹起されはじめ、時間と共に電流振幅が増大することを見出した。このニコチン性ACh電流の増強(感作)からの回復時間経過は昨年度報告したmEPSCの増強からの回復経過とよく一致していた。ところが、ロットの変更等培養条件の変更によりこの感作現象の再現性が失われ、その原因を追求したが解明できなかった。一方で上記のような無限大ではないが、1分間のACh投与で平均約1.5倍の感作現象が観察された。この感作からの回復もmEPSC増強からの回復とほぼ等しい時間経過を示した。mEPSC記録とFura2による細胞内Ca^<2+>濃度測定を同時に行うと、mEPSC増強時にCa^<2+>濃度の増加が観察され、Ca^<2+>キレーター(BAPTA)またはカルモジュリン依存性蛋白リン酸化酵素II(CaMK II)阻害薬(KN-64)の細胞内投与によりmEPSCの増強は抑制された。さらに、ACh電流の感作強度はテスト刺激に用いるAChの濃度が高いほど弱く、ACh電流の濃度-応答曲線における最大応答惹起濃度付近では感作強度が1に近いことが判明した。このことは感作時にニコチン性ACh受容体感受性が低濃度側にシフトすることを示唆する。同様のACh感受性シフトがmEPSC増強の前後でも観察された。以上並びに昨年度の結果から、ニコチン性ACh受容体チャネルの活性化により流入したCa^<2+>がカルモジュリンと結合し、CaMK IIを活性化して自らのニコチン性ACh受容体蛋白または関連蛋白をリン酸化することにより、ニコチン性ACh受容体のアゴニスト感受性を高めることが示唆された。このようなポジティブフィードバック系の形成により、短期と長期の中間に位置する中期シナプス可塑性が発現すると考えられた。
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