研究課題/領域番号 |
08680898
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
井上 真澄 福岡大学, 医学部, 助教授 (40223276)
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研究分担者 |
矢野 晶子 福岡大学, 医学部, 助手 (00279283)
今永 一成 福岡大学, 医学部, 教授 (40078613)
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キーワード | 内向き整流Kチャネル / 燐酸化 / ミトコンドリア / 副腎髄質細胞 / 脱燐酸化酵素 / ATP / ATPase / 加水分解 |
研究概要 |
ニスタチン法を用いて、単離モルモット副腎髄質細胞から-100mVのパルスにより誘発される内向き整流K電流を記録した(DATレコーダ)。外液を5mMCNを含むグルコース欠如液に置換し(ステッパー)ATP産生を抑制すると、6分後から徐々にK電流は減少していき、12分時には46%抑制された。CNを洗い流すとK電流は2分でほとんどもとのレベルに回復した。このCNにより抑制されたK電流は、細胞内にATPを注入することにより約3分の時間経過で回復した。しかし、GTP、CTP、ITP、UTPの注入では、電流回復は見られなかった。一方、非加水分解性ATPアナログについては、AMPCPP及びAMPPNPの注入ではK電流は回復しなかったが、ATPγSの注入では回復した。ATPγSによる回復は、ATPに比べて緩徐で、ATPγSと同時にMgイオンをキレートするEDTAを注入すると、回復は全く見られなかった。ATPの細胞内投与により回復したK電流は、細胞外に蛋白燐酸化酵素抑制薬のH-7を投与すると、可逆的に抑制された。更に、この抑制の程度は、ATPと同時に脱燐酸化酵素抑制薬のcalyculin Aを投与すると有意に減弱した。これらの結果より、CN投与による内向き整流K電流の減少は、細胞内ATPが減少し、その結果脱燐酸化酵素の静止時の活性により脱燐酸化が起こり、Kチャネルが不活性化された結果であると結論される。ATPaseの抑制薬であるFITCをATPと同時に投与しても、K電流の回復には影響を及ぼさなかった。この結果は、ATPの加水分解により発生するエネルギーはチャネル機能維持に関与しないことを示唆する。
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