研究概要 |
本研究は、(1)CCGトリプレットリピートの伸長が染色体を脆弱化し、さらに世代を重ねることでその部分が破壊・欠失するという仮説の証明を試みると共に、染色体欠失モデルの開発を目的として、CCGトリプレットピートを導入したトランスジェニックマウスを作成する、(2)同時に、マウスのゲノムにあるCCGトリプレットリピートを検索し、ヒトのホモロブを同定する、(3)標的遺伝子組み換えによって、マウスのホモログのCCGトリプレットリピートを長いものと置き換え、染色体の脆弱性との関係を明らかにする、(4)これらのマウスを系統化したのち、交配実験を行い世代を重ねることでその染色体部位の破壊・欠失が生じるか否か観察する、を目的として遂行されている。 平成8年度は、脆弱X症候群あるいはFRA11Bと呼ばれる脆弱領域のCCGトリプレットリピートの長さのことなるDNA断片(100繰り返し、11繰り返し)をマイクロインジェクション法にて導入し,トランスジェニッスマウスを作成・系統化中である。当初予定した750繰り返しのCCGトリプレットリピートを含む導入遺伝子は、大腸菌中での安定性が悪く、また、クローニング自身が困難であることが他の研究グループからも報告されたため、200-300繰り返しを持つ導入遺伝子に計画を変更し、現在構築中である。作成されたマウスには、現時点では異常は観察されていない。系統化後、導入位置をマイクロサテライトマーカーを用いて同定する予定である。また、いくつかの近交系マウスや亜種のマウスのCCGトリプレットリピートを検索し、その位置をマイクロサテライトマーカーを用いて同定し、その周辺の塩基配列を含め塩基配列を決定中である。平成9年度も、以上の実験を継続すると共に、検索されたマウスの内在性CCGトリプレットリピートを標的遺伝子組み換えによって伸長したものに置き換えた動物を作成する予定である。
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