パルボウイルスは小型DNAウイルスで、その非構造タンパク(NS)がウイルスのキャプシド(VP)や宿主遺伝子の発現を調節し、自己免疫疾患との関連が疑われている。また、多量発現したNSの細胞傷害性や癌化細胞での特異的なウイルス増殖からその癌抑制機構も注目されている。そこで、このNS遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、生体におけるNSタンパクの発現と自己免疫疾患の発症や発癌抑制との関連を明らかにすることを目的として研究を実施した。 NSを過剰発現するTgマウスはNSの細胞障害性により作製できない可能性があったため、時期特異的に発現制御できるテトラサイクリン発現制御システムを応用した。まず、reverse tetracycline transactivator(rtTA)遺伝子をC57BL/6マウスの受精卵に注入、胚移植することにより、4匹のファウンダーマウスを得た。一方、rtTAと相互作用し下流の遺伝子発現を誘導するtetracycline responsive element(TRE)とNSを連結した融合遺伝子(TRE-NS)を導入したTgマウスも作製し、3匹のファウンダーマウスを得た。現在、これらのマウスを元に系統化を進めており、今後、両者を交配することにより両遺伝子を持ったTgマウスを作製する予定である。 また、NS遺伝子の過剰発現による病態を予測するため、NSの細胞傷害性および細胞内で相互作用する宿主因子の探索を平行して行い、NSの細胞傷害性にはアポートーシスの誘導が関与していること、種々の転写因子にコアクチベータ-として作用するCBP(CREB biding protein)とNSが細胞内で結合することが明らかとなった。
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