実験動物としてのミニブタの特性および有用性を調べる目的で、8年度は末梢血液について血球数等のパラメターを調べ、次年度に骨髄細胞を調べるために胸骨からの骨髄採取法の検討を行った。 (1)ミニブタの末梢血球の形態学的特徴に関する検討結果は次の通りであった。 血球数等の雌雄の平均値は、赤血球数:875/μ1、MCV:56fl、白血球数:7000/μ1、血小板数:330000/μ1であり、血液像は好中球28%、リンパ球67%であった。これらの値はラットにほぼ近似するものであった。また、血液塗抹標本上の血球サイズ(直径)は6.0μmで、ラットにほぼ一致する値であった。なお、出現率は低いがハウエルジョリ-小体(HJ)あるいは核を有する赤血球が認められた。 (2)骨髄採取部位に関する検討結果は次の通りであった。 穿刺部位を検討するために胸骨の骨格標本を作成し、観察したところ、第1および2、第5および6胸骨はいずれも融合している個体が散見された。表皮側からみた骨幅は、第1が一番狭く順次増加していることが分かった。これらの骨形状の特徴から、骨髄穿刺部位は第3胸骨が適していると考えられた。実際に麻酔下で骨髄穿刺を行なったところ、第3胸骨が安全に且つ容易に骨髄採取出来ることが分かった。 以上、今年度の研究により、ミニブタの血液形態はラットに類似すること、他の大型実験動物には見られないHJが出現すること、並びに骨髄穿刺部位は第3胸骨が適していることが分かった。
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