実験動物としてのミニブタの特性および有用性を調べる目的で、動物の飼育管理法、採血、骨髄採取などに関する基礎的検討を加えた後、血液および骨髄細胞について血液形態学的に検索したところ、当施設でも飼育が可能であること、血球数、血球形態ともに小動物のラットに類似していること、骨髄は胸骨からの採取が容易であること、細胞構成比はサルに類似すること、好酸球のエステラーゼ活性が低値であること等が判明した。これらを踏まえて、骨髄細胞を形態学的に精査した。 骨髄細胞については、顆粒球系細胞のサイズはいずれもラットに類似していたが、好中球の核分節の形態はイヌに類似していた。好酸球の顆粒は非常に豊富でこの所見はラットと同等であった。この形態的特徴と酵素活性値との関連性については、好中球では酵素活性は高いが染色性は低く、好酸球は逆に酵素活性は低いが染色性が強いことが分かった。赤芽球、リンパ球等は、サイズ、色調、核形共に他の実験動物と差異は見られなかった。ハウエルジョリー小体が末梢血および骨髄で1/1〜4x10^4の割合で観察され、この所見はマウスに類似するものであった。赤血球の寿命は約90日で、赤血球が小さいにもかかわらず寿命が比較的長いことが分かった。 以上、これまでの成果をまとめると、1)血液は耳静脈および頸静脈から、骨髄は胸骨からの採取が容易であること、2)ミニブタは血球の数、形態、生化学的側面においてさまざまな特徴を有する動物であることが判明した。このことから、ミニブタは大型実験動物として十分利用可能であると考えられた。
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