研究概要 |
侏儒症のモデル動物には、マウスではSnell,Ames,Pigmy,Little等が、ラットでは、GH単独欠損株儒症(dw),the Dwarf rat(Dw)の報告がある。rdwは1988年に報告された遺伝性侏儒症ラットである。rdwは、下垂体の免疫組織学的検索から当初下垂体性の侏儒症であると報告された。しかし、その後の研究により、rdwは甲状腺機能低下症であると考えられている。 本年は、rdwの病因を探索する一助として、2次元電気泳動を用いてrdwの種々の臓器タンパク質を解析した。各種臓器のタンパク解析の結果、甲状腺と甲状腺のみで対照とrdwで差がみられた。rdw下垂体ではGHとPRLで有意な減少と、未同定の28kDaタンパクの増加がみられた。rdw甲状腺では、正常に比べて少なくとも15種類のタンパクの増加がみられた。これらの15種類のタンパクのうち、熱ショックタンパク(hsp70)は免疫学的方法で、Ig重鎖結合タンパク(Bip/GRP78)、エンドプラスミン(GRP94)はマイクロアミノ酸解析により同定された。エンドプラスミン、Bipは小胞体に存在するタンパクであることから、rdwは小胞体蓄積病(ERSD)である可能性が示唆された。本病はこれまでのモデル動物としては報告されておらず、興味あるモデル動物であることがわかった。 以上から、rdwは上述のマウス、ラットの株儒症とは異なるタイプの原発性甲状腺機能低下症(Primary hypothyroidism)と考えられる。
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