研究概要 |
1.ポリオウイルスレセプター遺伝子導入トランスジェニックマウス(PVR-Tg)をSabin株で免疫(経口、腹腔、皮下)後、強毒株(MN341)を再摂取し、ウイルス感染後のPVR-Tgのマヒ及び生死で免疫成立効果を検討した。(1)その結果、経口及び腹腔免疫の場合のみ感染防御が成立した。しかし、皮下免疫経口感染群では感染約1週目以降殆どのPVR-Tgのマヒ観察された。また、非免疫群の経口感染では全PVR-Tgにマヒが、腹腔感染では殆どのPVR-Tgがマヒ症状を呈し死亡した。 2.Sabin株免疫による糞便及び血清中の中和抗体価を検討した。(1)糞便中では経口及び腹腔免疫約1週目以降から高い抗体価が検出されたにも関わらず皮下免疫では非免疫群と同じであった。また、検出された抗体のサブタイプはIgGとIgAでIgMは検出されなかった。(2)また、血清中においても同様であったが、検出された抗体のサブタイプはIgGとIgMでIgAは検出されなかった。(3)皮下免疫の場合、約2週目以降から血清中に同サブタイプ(IgG,IgM)の抗体が検出された。以上の結果、経口・腹腔投与は感染防御の観点から免疫成立に有用な投与ルートであること、更にこれら免疫投与ルートは消化管免疫を成立させる事も示唆された。 3.ウイルス感染がマウスMHCに依存するものであるかを、C3H/He(H-2k),C57BL/6(H-2b),BALB/c(H-2d)及びDBA/2(H-2d)にバッククロスさせてPVR導入マウスを作出し、MN341株後の糞便中のウイルス価を測定した。(1)その結果、どの由来のマウスの糞便中のウイルスの価も感染1日目をピークに殆ど検出されなかった。そのウイスル価も殆ど差はみとめられなかった。(2)ただし、ICRマウス由来の導入遺伝子ホモタイプのTgではレセプターの発現量が多い為か各系統由来のヘテロマウスと比較して高ウイルス価が感染2-3日目まで持続した。
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