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1997 年度 実績報告書

歯科矯正時の骨リモデリングに関する細胞レベルでの生体力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08680919
研究機関北海道大学

研究代表者

山本 克之  北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10088867)

研究分担者 森川 一  旭川工業高等専門学校, 助手 (20239635)
工藤 信樹  北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30271638)
佐藤 嘉晃  北海道大学, 歯学部, 助手 (00250465)
キーワードバイオメカニクス / 骨リモデリング / 歯科矯正 / 歯槽骨 / 破骨細胞 / 歯根膜 / 弾性特性 / ヤング率
研究概要

生体組織の適応現象の中でも,歯科矯正時の歯槽骨のリモデリングは,特に顕著であり,かつ力学条件を明確に設定できるめ,骨リモデリングの機序を解明する最適な研究対象のひとつである.本研究は,歯科矯正における歯槽骨リモデリングと力学的刺激との因果関係を,歯根部力学条件-血流-破骨細胞出現の交互関係から,生体力学的に明らかにすることを目標とした.
歯周組織内の応力解析には歯根膜の材料定数が必須であるが,実測値は皆無に近い.そこでまず,ネコ歯根膜を対象に,歯根膜の材料を測定した.微小組織を実体顕微鏡下で測定の可能な小型の圧縮・引張試験機を開発し,応力-ひずみ特性を求めたところ,引張では速度依存性が見られないのに対し,圧縮では大きく速度に依存することが明らかになった.応力-ひずみ特性から求めた準静的状態での歯根膜の弾性率は,引張では0.37±0.11MPa,圧縮では0.079±0.017MPaであった.歯科矯正圧迫側で生じる変性組織の圧縮弾性率は,0.143±0.035MPaと有意に高値を示した.また,荷重試験中の歯根膜の体積変化からポアソン比を想定したところ,圧縮では引張に比し有意に低値を示した.
次に、ネコ犬歯を対象に実験的歯科矯正を実施し,各組織切片に対応する有限要素モデルを作成して,破骨細胞出現部位の応力値を求めた.その結果,破骨細胞は,固体,矯正条件によらず,歯根膜内の最小主応力値が-4kPa(30mmHg)程度で最も多く出現することが明らかとなった.破骨細胞は造血幹細胞に由来する細胞であり、破骨細胞は歯根膜内の血流が阻害されない程度の最適な圧縮応力部位に選択的に出現することを,細胞レベルの計測と解析で初めて実証することができた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Katsuyuki YAMAMOTO: "Computational analysis of bone remodeling in orthodontics" Computational Biomechanics(K.Hayashi,H.Ishikawa Eds.). 115-134 (1996)

  • [文献書誌] 西平守正: "歯根膜の弾性特性の測定" 電子情報通信学会技術研究報告. MIBE96-41. 45-50 (1996)

  • [文献書誌] 西平守正: "実験的歯科矯正における破骨細胞出現部位の応力解析" 顎顔面バイオメカニクス学会誌. 2(2). 27-35 (1996)

  • [文献書誌] 西平守正: "引張および圧縮試験による歯根膜弾性率の測定" 電子情報通信学会技術研究報告. MIBE97-35. 75-80 (1997)

  • [文献書誌] 中村進治: "歯の移動に対するバイオメカニカル・アプローチ" 顎顔面バイオメカニクス学会誌. 3(2)(印刷中). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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