研究課題/領域番号 |
08680936
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
阿部 一彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90212539)
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研究分担者 |
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
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キーワード | 抗血栓性機序 / 相分離構造表面 / 抗血栓性材料 / 血小板膜グリコカリックス / ルテニウムレッド染色 / 透過型電子顕微鏡 / 微細構造 / PHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体 |
研究概要 |
「目的」本研究は親水性ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)と疎水性ポリスチレン(PSt)のセグメントが交互に規則的に並ぶラメラ状の相分離構造を有するPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)表面の抗血栓性機序の解明、とりわけ血小板内への刺激伝達抑制機序の解明を目的にした。今年度はHSB表面に接触及び粘着した血小板の膜糖蛋白質(GPs)を主成分とし、異物認識の重要なサイトである膜グリコカリックス(GC)の微細構造の保存性を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて解析した。 「方法」保護基を用いたアニオンリビング重合法により合成し、ラメラ幅160Åの相分離構造を有するHSB[平均分子量(Mn)は10600であり、このうちPHEMAのMnは5100、PStのMnは5500]を調製した。疎水性の均一表面を有するPSt及びPHEMA-PStランダム共重合体(PHEMA/PSt=1/1)(HSR)を対照群として用いた。これらのポリ-マ-ビーズ(φ150μm)を最密充填した塩化ビニル製のカラム(長さ:10cm、内径:3mm)に血小板浮遊液をマイクロスフィア・カラム法を用いて3種類の流速((1)0.05ml/min×30min、(2)0.1ml/min×15min、(3)0.5ml/min×3min)で室温にて流した。そして、これらの材料表面に接触及び室温にて3時間静置粘着した血小板の膜GCをルテニウムレッドにて染色した後その微細構造の保存性をTEMにて解析した。 「結果・考察」PSt及びHSR表面の場合とは事なり、いずれの流速においてもHSB表面に接触及び粘着した血小板の膜GCの微細構造は正常血小板の膜GCと同様に良好に保持されていた。特に興味深いことは、HSB表面に粘着した血小板は膜GC長さ分の狭小の空間を保持しそれを足場にしたsoft landingの粘着挙動をとっていたことである。これらのことから、HSB表面は流速の違いを問わず、血小板の膜GCの微細構造を良好に保持することが明らかになった。このことに加えてHSB表面に接触及び粘着した血小板の貯蔵顆粒数は正常血小板のそれと比較して有意差がないことから、HSB表面は血小板の膜流動性に影響をあたえないで血小板の活性化を抑制することが示唆された。来年度はHSB表面の血小板膜骨格(膜貫通性のCPsと細胞骨格とを結び付けており、外部刺激を細胞内へ伝達する重要な役割を担っている)との関わり合いについて研究を行う。
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