研究概要 |
ゼラチン水溶液のゾル-ゲル転移現象の研究に表面波法を応用し、表面波(レーリー波)の伝搬速度、吸収係数からずり弾性率、粘性係数が求められることを示した。それらの量の臨界的振る舞いから臨界指数を決定し、Percolation理論とよく一致することがわかった。(Jpn.J.Appl.Phys.に発表)。 生体組織に適用できるよう表面波検出法に改良を加え、装置改善を図った。具体的には発信子、検出子の電気的な漏れを抑える工夫を取り入れたり、パワーアンプを導入して発信出力の増大をはかってSN比を向上させた。また、鶏のささみ肉のずり弾性率測定を行った。このような筋肉組織は1軸方向性を持つので、その線維方向に平行、あるいは垂直に表面波を伝搬させ、速度、吸収を求めた。線維と平行な速度は1kHzで11.0m/s,垂直方向では4.6m/sとなり2倍以上の差が観測された。吸収係数については平行方向よりも垂直方向の方が大きいという結果になった。表面波速度からずり弾性率を求める場合、1軸方向性の組織は六万晶系の結晶と同じ弾性率テンソルを持つので、それを考慮してレーリー波方程式から数値計算した。その際、縦波弾性率が必要となるので、15MHzのパルスエコー法により音速を測定して求めた。得られた縦波弾性率は2.3-2.8 Gpa,ずり弾性率は0.13MPaとなった。これらのデータは超音波の医用応用に際して重要な知見を提供するものである。
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