研究概要 |
細胞接着性オリゴペプチドRGDS,REDV等を液相法により合成し,元素分析,アミノ酸分析,NMR等により合成されていることを確認した.これらペプチドと水溶性合成高分子-オリゴペプチドハイブリッド体の合成を行った.(RGDS)nの合成変化に関しては,以前の手法に改良を加えることにより常に、平均重合度n=20以上のものが得られるようになった.また,バイオマテリアルとしれ有望なEAK16ペプチドの合成手法を確立した.これらのサンプルを用いて,細胞の伸展阻害実験行った結果,水溶性合成高分子-オリゴペプチドハイブリッド体は,RGDSと同様に初期の段階から顕著な伸展阻害効果が見られた.また,ハイブリッド体へのRGDS導入量が少なくてもRGDS単体と同じ程度活性を発現した。 分子力場を用いて電荷を有したR^+GD^-S構造最適化を行ったところ,最安定構造からエネルギー差が2kcal/mol以内に57種類の構造が得られた。この構造は、先のAc-RGDS-NHMeのコンホメーションとは電荷の影響を受け大きく違い、Gly-AspとAsp-Ser間でそれぞれtypeIV,typeIの折れ曲がり構造を有していた。また、(Arg)N^εH・・・O^δC(Asp),(Arg)N^<η1>H・・・O^<η1>C(Asp),(Asp)C^δO・・・HO(Ser)の3ヶ所で水素結合を有し、Arg,Asp,Ser残基のそれぞれの側鎖が同一方向を向き合うことにより安定化している。以上より、実際に水中に存在し得るRGDS分子のコンホメーションに大変近い構造を有していると考えられ、Arg,Asp,Ser残基のそれぞれの側鎖の配向が細胞接着活性発現に重要な役割をはたしていると考えられる。 また,合成したpoly(RGDS)についてコンホメーション解析を行ったところ円偏光二色性測定結果からα-ヘリックス構造を形成することが明らかになった.これは,分子力学計算の結果と良く一致している. 以上のことが今年度の研究から明らかとなった.
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