研究概要 |
細胞接着活性を有するオリゴペプチドRGDS、RYDS、EILDV、YIGSR等を液相法により合成し、元素分析、アミノ酸分析、TOF-MS、NMR等により合成されていることを確認した。水溶性合成高分子-オリゴペプチド ハイブリッド体についても調製を行なった。シーケンシャルポリペプチド(RGDS)nおよび(RGD)nの合成に関しては、以前の手法に改良を加えることにより常に、平均重合度n=20以上のものが得られるようになった。また、RGDSミメティックペプチドとしてアルギニン部分の側鎖にメチレン部分が一つ多いホモアルギニン(hR)を導入したペプチドhRGDSを新規に合成することに成功した。また、バイオマテリアルとして有望なEAK16ペプチドの合成手法を確立した。 これらのサンプルを用いて、細胞の伸展阻害実験を行った結果、水溶性合成高分子-オリゴペプチド ハイブリッド体は、RGDSと同様に初期の段階から顕著な伸展阻害効果が見られた。また、ハイブリッド体へのRGDS導入量が少なくてもRGDS単体と同じ程度活性を発現した。さらに、血小板凝集阻害実験を行った結果、hRGDSはRGDSと同等の活性が見られたが、RYDS、YIGSRはRGDSに比較し活性が弱いことが明らかになった。これらの結果より、アルギニンの側鎖のグアニジド基の重要性が示唆された。 ECEPPの分子力場を用いて、RGDS配列を含むぺプチドのコンホメーション解析を行ったところ、いずれの場合においても、ターン構造を有し、さらに、Arg,Asp,Ser残基の側鎖の配向および水素結合が安定構造形成において重要であることが明らかになった。 以上のことが平成8年〜9年の研究で明らかになったことの概要である。
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