生体の免疫応答を増強するアジュバンド活性の最小有効構造単位はN-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP)という糖ペプチドであり、免疫担当細胞の活性を増強させることが知られており、MDPのD-グルコース・アナログ(GADP)はMDPに勝るアジュバンド活性を有することが報告されている。また、マクロファージなどの貧食系の細胞はマンノースをレセプター介在で認識することが見出されており、マンノース分岐を有するグルコマンナンは、マクロファージへのターゲティング能を有する多糖として利用できる可能性がある。そこで、GADPにグルコマンナンのマクロファージ認識能および多糖骨格による高次構造を賦与し、GADP/グルコマンナン・コンジュゲートにより免疫担当細胞の高活性化を達成することを目的として研究を行った。 まず、GADPユニット導入率とCM化度が異なる数種類の目的GADP/CM-グルコマンナン・コンジュゲートおよび免疫賦活能を持たない多糖であるデキストランを用いた対照コンジュゲートとしてのGADP/CM-デキストラン・コンジュゲートの合成を試み、それらの合成に成功した。 つぎに、マクロファージの活性化能をin vitroで調べることにより、合成コンジュゲートの免疫担当細胞活性化能を評価した結果、マンノース残基を分岐側鎖に持つGADP/CM-グルコマンナン・コンジュゲートはGADP/CM-デキストラン・コンジュゲートより高い免疫担当細胞活性化能を示すことが明らかとなった。マクロファージ細胞表面に存在しているマンノースレセプターを介してGADP/CM-グルコマンナン・コンジュゲートがマクロファージに取り込まれたために、高活性が得られたものだと考えられる。なお、この様な考察はフリーのマンノースを添加した阻害実験によって支持されている。
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