研究概要 |
自己硬化し生体適合性を有するハイドロキシアパタイトに転移する機能を有するセメントを用いて,大塚は,抗炎症薬,抗生物質等の薬物送達システムを確立報告している,そこで本薬物送達システムを骨粗しょう症治療に応用するための基礎的検討として女性ホルモンなどの骨粗しょう症治療のin vitro溶出特性とセメントの処方を検討した.まず,アパタイトはその炭酸含有量により生体内分解性のリン酸カルシウムに転移させるために炭酸ナトリウムを添加量を調節し分解性の高い炭酸アパタイトに転移させるシステムを確立した。薬物の含有による自己硬化作用の抑制を各種薬剤について応力試験機を用い検討した.硬化後の試料のX線回析プロファイルを測定し,セメント中の結晶化度を測定した.また,薬物とセメントとの吸着量を測定し,吸着プロファイルからデバイスと薬物との相互作用を検討した.薬物含有量を変化させることによる薬物放出速度の制御を行い,定量的な関係を求めた.これらのセメントシステムを用いin vitro試験として一定薬物濃度のCPセメントを異なるカルシウム濃度の疑似体液中37°Cで行い,薬物放出を測定し,カルシウム濃度と薬物放出速度の定量的な関係を検討し,骨粗しょう症病態時と正常時の血中カルシウム濃度での薬物放出とその放出機構を推察した.また,正常ラットを用いDDSを皮下に投与し血中濃度プロファイルをHPLC法により定量した。生体中でのセメントからの薬物生物学的利用能を求めるためこれら薬物血中濃度を薬動学的に解析し,患部の薬物濃度を予測推定するために手法を開発しこれを評価し,セメントの処方と薬物の生物学的利用能の関係を明らかにした。これらのDDSの治療効果を評価するためのラットの骨密度を骨密度測定器にて測定し薬物の投与方法と骨形成とこ定量的な関係を検討した。
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