研究課題/領域番号 |
08680947
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
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研究分担者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00210279)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | α受容体交感神経刺激 / 心内膜側細動脈 / ペーシング負荷 / slosh現象 / 血管拍動性 |
研究概要 |
[目的]本研究では、我々が開発したニードルプルーブ型CCD生体顕微鏡を用いて心内膜側細動脈の拍動性血管径変化、微小循環血流の観察を同時に直接行う。そして、α交感神経活動の亢進が、冠血管トーヌスの調節により、冠動脈slosh現象(拡張期順流に対する収縮期逆流の割合)の抑止効果を介して、心内膜側の虚血を改善するという仮説を検証することを目的とする。[方法]雑種成犬を用い、麻酔開胸下にて、左冠動脈中隔枝を剥離後、20MHz80チャンネル超音波ドプラ血流計にて、心筋内血流を計測した。ニードルプローブ型ビデオ生体顕微鏡のニードルプローブを左心耳より左室内腔に挿入し、左室心内膜側冠細動脈を観察する。この他に右室ペーシングにより心拍数を制御した。大動脈バンディングで冠灌流圧を制御しつつ、以下の条件下で心筋内冠動脈血流を計測し、心内膜側冠細動脈を観察する。(1)Basal condition、(2)ノルエピネフリン(NE)0.25μg/kg/min持続静注下、(3)NE+α受容体遮断(フェノキシベンザミン、0.5mg/kg静注)。以上のプロトコールを、心拍数140、200、250bpmで計測して、心拍数の影響を調べた[結果]心拍数140bpm時、NE投与下の第一中隔枝血流パターンはα受容体遮断前より収縮期逆流を認めた。α受容体遮断前後で有意な変化はなかった。NE投与下のα受容体遮断後、心拍数140bpm時の心内膜側血流は増大し、心拍数200bpm時には、この効果は消失し、250bpm時には、逆に心内膜側血流は減少した。いずれの心拍数においても、α受容体遮断により収縮期逆流の有意な増大が認められ、slosh率も有意に増大した。血管拍動性は心内・外膜側ともにα受容体遮断後、有意に増大した。[結語]α受容体交感神経刺激はSlosh現象に対して抑制効果を示し、特に頻拍時には心内膜側心筋血流を維持する効果が示された。
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