ウカシェ-ヴィチの死後40周年の記念学会「Lukasiewicz in Dublin(ダブリンのウカシェ-ヴィチ)」で「Was Lukasiewicz Wrong?:Three-valued Logic and Determinism(ウカシェ-ヴィチは間違っていたか?:三値論理と決定論)」という題目で発表を行い、それを論文にして会議録の編集委員会に提出した。また、日本科学哲学会で「部分論理と時間様相」という題目で発表を行い、これも同学会へ論文として提出した。 これらの考察を通じて認識されてきたことは、時間様相とは、因果様相とも真理様相とも異なる独特の様相であり、世界の部分性に由来する存在論的な様相であるということである。 まず第一に、時間様相における可能性は、矛盾を許容するという点で真理様相(および因果様相)における可能性よりも弱い可能性であり、したがってルイスタイプの様相論理、時制論理、超付値論理などの、古典論理のト-トロジーを保存するような論理学によってはその論理を捉えられないという結論を得た。そこで、時間様相の論理学として最も適切なものとして、部分論理にウカシェ-ヴィチの定義による様相演算子を加えた体系Lを提示した。また、時間様相は因果様相、真理様相に比べて最も外延的な様相であるので、その論理学に対する意味論としては、時間の分岐モデルに基づく可能世界意味論や超付値による意味論などの内包的な意味論を採る必要はなく、真理表による外延的な意味論が適用できるということを主張した。
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