社会的文脈において、2人あるいはそれ以上の人数で相談しながら共通の選択肢を採択する共同意思決定を行わなければならない場面はしばしばある。共同意思決定とは、複数の人数によって決定される集団意思決定であり、話合いあるいは交渉によって共通の選択肢を採択し、それを共同で実行する意思決定である。 本研究では、相談による共同意思決定の過程を理論的・実証的に研究することを主目的とした。第1に、相談による共同意思決定がどのような認知過程を経ていたかを、情報モニタリング法などの過程追跡技法によって明らかにした。第2に、共同意思決定における相談によって認知の共有化がどの程度できるかを検討したが、その程度は極めて低いことが明らかになった。第3に、個人の意思決定と共同の意思決定の比較を行ったが、個人の意思決定と共同意思決定に関する情報処理パターンが異なることが明らかになった。第4に、共同意思決定に及ぼす状況要因の検討を行ったが、とくに対面状況と非対面状況とでは意思決定に関する情報処理パターンが異なることが明らかになった。第5に、本研究の知見を総合して共同意思決定に関する過程モデルを作成した。
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