自閉-多動症候群(ADHD)により、学習に困難を抱える自動の教育に関する内外の研究成果を活動理論の観点から整理し、自閉-多動症候群(ADHD)の児童の識字支援(セラピー)の理論を構想した。また、そこで構想した理論仮設に基づく臨床的なケース研究を試行し、三つの典型事例に応じた識字支援の方法を提起することができた。 内外の理論研究では、認知心理学や文化人類学の近年の研究動向を分析しながら原始的(プリミティブ)な思考がもつ積極的意義を再評価する発達観と、正統的周辺参加という着想による文化観の再検討を行い、学習支援のパラダイム転換を提唱した。 臨床的な識字支援(セラピー)の理論構築では、小学校3年及び6年の国語科の授業における談話分析を試行しながら、文化参加、社会参加、異文化対話の三つをキーワードにした授業実践づくりに参加した。そのさい、対象児童数名の「発達」のプロセスを事例ごとにたどり、談話における意味創造体験の過程にそくしながら識字支援の方法を提起した。
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