コーパス言語学の分野では、音声データにも焦点が当てられるようになり、CD-ROMを使って音声の聞ける口語英語コーパスが作成されている。しかし、現在発表されている口語英語のコーパスでは、英語が使われる場面の映像を見ることができない。口語英語を研究し教育に活かすためには、文字・音声データだけではなく、英語が使われる場面の映像データにアクセスできることが求められる。 本研究では、英語字幕信号(closed caption、以下、CCと略記)付きビデオソフトを利用したマルチメディア型データベースを構築した。これまでに、34作品のCC付きビデオソフトからCCデータ収集し、データベースに登録した。マルチメディア型のCCデータベースでは、検索された語句が使われる場面をビデオソフトで再生することができるため、英語の音声や身ぶり言語の研究に応用できる。 CC付きビデオ・ソフトは、レーザーディスク・ソフトに比べてタイトル数が圧倒的に多い。また、米国テレビ放送では、毎日、CC付きテレビ番組が数多く放送されており、それらをCC付きでビデオテープに録画することができる。さらに、日本での衛星放送の一部の番組にもCC信号が入れられている。テレビ放送のCCデータをマルチメディア型データベースに登録すれば、ビデオの生テープ代だけで大量のCCデータを収集・保存することができるのである。 筆者の開発したデータベースは、大規模なマルチメディア型データベースを少ない予算で構築することが可能となり、音声・映像を利用した英語の研究と教育に大きな貢献が期待できる。
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