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1996 年度 実績報告書

心的語彙部門の構造に関する言語学的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08710371
研究機関常葉学園短期大学

研究代表者

寺尾 康  常葉学園短期大学, 教養教育科, 助教授 (70197789)

キーワード発話モデル / 言い誤り / 心内辞書 / 音韻論 / モ-ラ
研究概要

本研究では、人間のこころの中にある辞書(心的語彙部門)の構造とそこに記載されている語彙へのアクセス方法について、言い誤りを中心とする発話場面における言語的逸脱データを用いて解明が試みられた。まず、データベースの整備が行われ、従来行われていたカード記述にたよった逸脱データの収集から、デジタル・ビデオカメラを用いたマルチメディア的な収録の方法が検討され、現在データベースの構築が進行中である。
次に、データの分析から得られたいくつかの知見をまとめてみたい。「からだ」が「かだら」になってしまうような音位転倒型の言い誤りの分析からは、(i)このタイプの誤りには、交換される要素間の音韻的特徴よりも、共通の母音を持つ隣接するモ-ラという環境的な要因が強く関わっていること、(ii)連続する2モ-ラの調音容易性が関わっている可能性が高い。つまり、前例では「らだ」という連続より「だら」という連続の方が自然であったために誤りが起こったとみることができる。この傾向を確認するため、両者の発話継続時間を測定する実験を行い、支持する結果を得た。以上の知見、および他のタイプの言い誤りとの頻度差の観点から、心的語彙部門を記述するモデルの候補として、相互活性化モデルを基本にモ-ラレベルと音声部門からのフィールドバックを加えた上で、モニター処理の及ばない限界として2モ-ラ分の単位を設定したモデルが提案された。
さらに、形態的、語彙的誤りの分析では、短縮型の言い誤りに注目し、「こうちょう、きょうとう」が「こうとう」(前半の前半と後半の後半が混合する)になる下位タイプの方が、「どくそうたいせい」が「どくたい」(前半と前半と後半の前半が複合語縮約のように混合する)になる下位タイプよりも頻度が高く、より自然な造語過程ではないかという仮説が提案された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 寺尾康: "言い誤り分析と音韻単位-音韻表示と音声表示の連結-" 月刊「言語」. 25巻8号. 100-110 (1996)

  • [文献書誌] 寺尾康: "2モ-ラを1単位とする言語単位の心理言語学的検証-造語過程から心的語彙部門まで-" 常葉学園短期大学紀要. 27号. 405-417 (1996)

  • [文献書誌] 寺尾康: "「音韻研究-理論と実践-」(分担執筆)" 開拓社, 212 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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