本研究では、資料については日本近世における地方行政にかんするものを水戸、長岡などにおいて調査し、目録、資料集としてまた現地でコンピュータ入力するなどの形で資料整理を行った。また海外資料については、立教大学を含む東京周辺の資料を調査するとともに、インターネットを用いた、欧文資料の検索、取寄せなどもおこない、従来充分に検討されていない細部のレヴェルでの研究に踏込むことができた。 その結果、明治維新以前も以後も、日本における統治権力と社会活動との関係は、多元的な社会的利害の噴出への実務的な対応と統治エリートのモラルを維持するための教育の問題が密接に絡み合い拮抗する状態であり、同時代の欧米における技術と論理的価値との相克状況ときわめて似た様相をもつという見通しを得ることが出来た。成果の一部は、「政事と史事」と題する論文として公表した。
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