局所体F上の一般線型群GL_n(F)の既約スーパーカスピダル表現についての研究を行い、結果を二つの論文にまとめた。以下その論文の概要を説明する。 1つめは、既約スーパーカスピダル表現のなかで、既約ベリ-カスピダル表現から誘導されるものを扱った論文である。 この論文においては以前の論文(J. Math Kyoto Univ. 29-4)の結果を出発点として、ベリ-カスピダル表現の指標の計算を行い、レベルが奇数であるものを単項表現(1次元表現からの誘導表現)の和として書けることを示している。レベルが偶数のものはもともと単項表現であるのでこの結果によりレベルの偶奇によらない取り扱いができ、ホイタッカーモデルの具体的な構成、GL_m(F)×GL_n(F)の表現のε-因子の計算等への応用が期待される。 2つめの論文は、GL_3(F)の既約スーパーカスピダル表現の指標公式を与えたものである。但し、Fの剰余標数は3でないとする。GL_3(F)の既約スーパーカスピダル表現は、全てFの3次拡大体Eの乗法郡の1次元表現から構成される。E/Fが不分岐拡大の時は、既に、(J. Math. Kyoto Univ. 32-4)指標公式は得られているので、ここでは、E/Fが完全分岐である時を扱う。Fの剰余表数が3でないという仮定より、E/Fは、tamely ramifiedである。この論文の一番の特徴は、E/Fがガロア拡大でないEの乗法郡の1次元表現から誘導されるGL_3(F)の表現の指標を、Fの2次不分岐拡大Lに対してGL_3(L)へのBase changeを用いて、計算している所である。このような、Base changeの応用は過去に例がなく、これから様々な表現に適用することによって、色々な指標公式が得られることが期待される。
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