ザイフェルト束E上のファイバーに横断的な余次元1葉層構造に関する問題は、Eの底空間の幾何学的基本群から円周の同相群への準同型写像に関する問題に完全に置き変えることができる。この置き変えにより、われわれの研究目的は、次のように言い直される。いつ、上に述べた幾何学的基本群から円周のPL同相群への準同型写像が存在するのか?また、そのPL共役類はそのくらいあるか?さらに、幾何学的基本群の準同型写像を通して円周への作用が例外的なものがあるか?これらの問題に対する研究の成果を報告する。 これら、3つの問題を扱う上で円周のPL同相群の元のPL共役類を決定する必要が出てくる。これについては、かなり多くの元に対して、そのPL共役類が決定可能であることがわかった。実際、固定点を持つか、または、総微分がいたるところ零であるPL同相写像のPL共役類は決定可能である。この結果の系として、底空間が2次元球面で、特異ファイバーが3本または4本であるようなザイフェルト束の場合、上のPL葉層の存在は、ミルナ-=ウッド型の不等式で特徴付けられることがわかる。これらについては、現在論文を準備中である。一般にザイフェルト束上の各ファイバーに横断的な葉層を具体的に構成することは、困難である。ここでの構成方法は、非常に具体的なものでありその意義は、非常に大きいものである。また、これらの例のなかには、アノソフ流から、手術理論を用いて、再構成されるものがあるということが多くの研究者により指摘されてきている。これらの研究を理解し、われわれの構成法と比較検討することにより、さらに統一的な構成法を見い出してゆけると思われる。
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