多様体上にいくつかの非自明な自己同相があり、それらの同相が、写像の合成を法として群構造をなしているとき、その多様体に群作用があるという。有向閉三次元多様体上に有限群が作用している場合について研究した。有向閉三次元多様体上の周期的な自己同相、すなわち、巡回群の群作用については、その固定点集合の位相的特徴が知られているが、一般の有限群については、一つの群を固定したとき、その群が群作用として実現できる多様体が存在するか、また逆に、多様体にホモロジー群上の制限を与えたとき、そのような多様体の属の上に作用する群には、どのような特徴があるかは、あまり知られていない。研究実績としてまず、多様体を有理係数ホモロジー球面に制限し、固定点集合が孤立集合からなるとき、その群作用は、位数2の巡回群でしかあり得ないことを証明した論文を完成し、発表した。また、この結果の延長として、一般の有向閉三次元多様体上に固定点集合が孤立点集合からなる二面体群が作用するときの、多様体のベッチ数と群の位数の間にある関係式についての論文を完成した。次に、どのような有限群もある適当な有理係数ホモロジー球面に、固定点を持たない群作用として作用できることが、近年証明されたことを受けて、その証明を独自に解釈するとともに、その結果の延長として、固定点を持たない有限群の一般の有向閉三次元多様体上の群作用について、多様体のベッチ数と群の位数の間にどのような制限もしくは関係式が存在するかを研究しようとしている。
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