本年度の研究において、いくつかの非線型楕円型の方程式の解の大域的構造に関する研究および非負のポテンシャルをもつ2階の(退化)楕円型偏微分作用素の基本解、固有値分布、固有関数の指数的減退に関する研究を行なった。 まず、一般のポテンシャル項を持つ、磁場効果のあるGinzburg-Landau方程式に対して、1つのLiouville型定理を証明した。これは、超伝導状態の局所化が起らないことを意味する。また、単調性をもたない与えられたスカラー曲率関数に対して共形不変な計量を記述する、いわゆるスカラー曲率方程式の解に対し新しいタイプの対称性を証明した。これは、最近のBianchiによる解の球対称性に関する結果を補完するものである。さらに、backgroud metricが一般の場合の、self-dual Chern-Simons-Higgs理論に現れる非線型楕円型方程式のnon-topologicalな解の存在、球対称性の研究も行ない、現在進行中である。 また、重み付きFefferman-Phongの不等式を証明し、非負のポテンシャルをもつ2階の退化楕円型偏微分作用素の基本解、固有値分布、固有関数の指数的減退に関する研究に応用した。退化楕円型作用素に関するこのような研究は、今までほとんどしなかったと思われる。また、シュレデインガー作用素に関するW.Shenの方法を改良し、ある部分の証明を見透しよくしたとともに、さらに一般の一様楕円型作用素にも拡張して、付随するさまざまな作用素の重み付きL^p空間やMorrey空間上での有界性を証明した。
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