ゲージ場や重力場の量子論において物理的S行列のユニタリティに影響するBRS singlet pairが、共変ゲージの2次元量子重力において存在することを明らかにした。この成果は論文“A Simple Example of the BRS Singlet Pair"として、Progress of Theoretical Physics誌に掲載された。BRS singlet pairが存在するとユニタリティが破れる危険があるが、de Donderゲージの量子アインシュタイン重力では、理論がもつ高い対称性によって、ユニタリテイが保証されることを証明した。この成果は論文“Resolution of the BRS-Singlet-Pair Problem in Quantum Einstein Gravity"として、Nuclear Physics B誌に掲載予定である。 当該研究者等によって開発されている場の量子論の解をハイゼンベルグ描像において求める方法において、演算子解を構成するときに必要な非可換量を含む関数間の交換子を計算する方法と、鈴木増雄の開発した非可換量を含む関数に関する解析学との関連を明らかにした。この成果は“Operator Ordering Index Method for Multiple Commutators and Suzuki's Quantum Analysis"として、Journal of Mathematical Physics誌に掲載された。 共変ゲージと光錐ゲージの2次元量子重力において明らかにされた新しいタイプのアノマリーが、より単純なモデルでも同様に存在することを示した。この単純なモデルはアノマリーのない自由場理論に帰着できるものであるため、その相違について解析を行ない、超関数における結合則の破れとの関連を明らかにした。この成果は“Anomaly Problem in a Simple Model Analogous to the Lightcone-Gauge Two-Dimensional Quantum Gravity"(Preprint RIMS-1130)として現在投稿中である。
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