研究概要 |
本研究において、形成後間もない恒星の一つであるR Mon の偏光・測光・撮像観測と、そのデータ解析を行った。この天体の偏光と測光の諸量には、時間変動性があることが従来より知られている。これは、星周の塵雲の変動によると解釈されているが、その詳細は明らかにされていない。本研究では、観測方法と解析方法を改良し、従来よりも高い精度のデータを用いてR Mon の変動性を調べた。得られたデータの精度は、測光に関して0.02等、直線偏光度において0.3%,直線偏光の位置角において1度程度であり(いずれもVバンドにおける精度)、所期の目標をほぼ達成できた。この結果、R Monに関して次のような知見を得た。 1.直線偏光度の変動とフラックスの変動には、大変強い相関がある。相関係数は、0.8以上である。 2.直線偏光の位置角は、1993年に急激に約5度変化した。 3.星自体のフラックスと、星周辺の反射星雲の輝度の変化にも、強い相関がある。 我々の結果は、R Monの極近傍の塵雲による減光の効果が、観測量の変動に影響を及ぼしていると解釈できる。このことは、R Mon周囲の空間では、物質は一様に分布しているのではなく、ラクンピーに分王していることを意味する。一般に、恒星の形成と同時に、惑星・彗星などの恒星系内天体が形成されたと考えられているが、我々の観測結果と、恒星系内天体の形成の関連性については、今後の課題である。
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