研究概要 |
B型輝線星のバルマ-線等に見られる輝線は,比較的低温で高密度の円盤状の外層大気から発せられていると考えらてれる.しかし,星周ガス円盤のできる原因については,いまだに明らかにはなっていない. 本研究の目的は,B型輝線星の外層大気の構造およびその形成のメカニズムについて調べることである.代表的なB型輝線星について分光観測を行い,輝線成分の構造を調べ,さらにこれまでの観測結果と比較することによって,外層大気の構造の変化について情報を得ることができる.それらを用いれば,外層大気の発達過程およびその形成メカニズムについて詳しい知見を得ることができる. 本研究にもっとも適した対象は,過去に多くの観測が行われている明るいB型輝線星である.まず,国立天文台岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡ク-デ分光器でこれまでに得られているCCDデータについて,調査を行った.これまで構築を進めてきた観測データア-カイブシステムに追加することは困難であることが判明したが,本研究に必要なデータは選別することができた.さらに,国立天文台堂平観測所91cm反射望遠鏡の多チャンネル偏光測光装置による観測,および過去の観測データとの比較も行い,外層大気の構造変化について調べた.結果は現在解析中であるが,スペクトル,偏光測光データとも興味深い変化がとらえられている.B型輝線星の変化のタイムスケールは数年以上におよぶ長さをもつので,さらに追跡観測を続けていく必要がある.
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