異常的(アノマラス)U(1)ゲージ対称性を含む超対称模型(特に超弦模型)は、超対称性の破れをあらわすスカラー質量が普遍性を示さないという顕著な特徴を持っている。このことが我々によって指摘されて以来、アノマラスU(1)ゲージ対称性を含む超対称模型はさまざまな側面から調べられてきたが、特に今年度中に、このような模型が現実的な超対称性の破れの機構を与え得るいくつかのグループによって指摘された。 このような発展をさらに押し進めるためには、アノマラスU(1)ゲージ対称性を含む超弦模型を分類することが重要な問題となる。私は東大核研の小林氏との共同研究により、オ-ビフォルド構成に基づく超弦模型を解析し、アノマラスU(1)が現れるための必要条件を与えた。この結果の一部は既に国際会議で発表済である。さらにその結果を拡張し、Z_N型のオ-ビフォルド構成に基づく超弦模型がアノマラスU(1)を含むか否かを判定するための一般的処法を与えた。この結果の詳細をまとめた論文を投稿中である。 一方で、場の理論の非自明性との関連で、以前に京都大のグループと行なった共同研究の結果を超対称な場合に拡張し、ゲージ対称性について、一重項場がある場合、随伴表現場がある場合、および両者が共存する場合について解析した。その結果、随伴表現場がある場合、くりこみ群の赤外固定点で超対称性が拡大することを示した(論文準備中)。
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