UNIX上で開発が進められているGEANT4ソフトウエアを、パーソナルコンピュータ上で稼動するMicro Soft社Windows NTに移植を行った。GEANT4は、GNU makeと呼ばれるコマンドを用いてソースコードのコンパイルを行う。Windows NTで動作するUNIXと完全に互換のGNU makeコマンドを使用し、Micro Soft Visual C++を用いてコンパイルを行った。もともと出来るだけUNIXに依存しないようGEANT4はコーディングされているので、Windows NTでコンパイルするのに必要なソースコードへの変更は少なくてすんだ。GEANT4の実効性能をUNIXワークステーションとパーソナルコンピュータで比較を行った結果、パーソナルコンピュータでも遜色ない性能を得られることが分かった。 次に、GEANT4を用いて大量のイベントの測定器シミュレーションを行うために、イベントを各PCに配り、結果を集まるための方法の研究を行った。まず、DCEの分散ファイルシステムであるDFSを用い、UNIXワークステーションのディスクへのI/Oのテストを行った.データ転送の性能は測定器シミュレーションを行うのに十分であったが、搭載したメモリの量が少ないパーソナルコンピュータ上では、仮想メモリを使用するためメモリとディスクの間で頻繁にスワップが発生して性能を十分に得ることができない。 資源の有効利用のために通常のスクリーンセーバーの代わりに測定器シミュレーションが行えるよう、必要なソフトエウアの開発を行った。PCがある時間使用されていないと、UNIXワークステーション上で稼動しているサーバーにどのイベントのシミュレーションを行うか問い合わせ、DFSを用いて必要なデータのやり取りを実現した。
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