光学顕微鏡、加熱装置(ホットステージ)、ビデオカメラ、ビデオレコーダ、(超)長焦点対物レンズ、ビデオ入力ボードを組み合わせて、パーソナルコンピュータで統括制御するシステム(ハードウェア)を構築した。このシステムで温度制御(時間変化)、画像の自動記録、画像の数値化、情報の抽出、統計処理を行うソフトウェアを開発した。以上のシステムを用いて、高分子(it-ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等)のフィルム内、融液下での結晶成長を、温度の条件を自動制御し、種々の成長条件下(温度、熱履歴試料の厚さ等)での結晶成長のモルフォロジーを画像として自動記録した。得られた画像データより必要な情報(結晶の形、像の明るさの強弱、結晶の個数等)を抽出し、そのデータを処理し、より有為なデータへと変換した。(一次元化、平均、フーリエ変換等)その結果と高分子の結晶成長に関して他の方法で測定したデータ(成長速度、小角X線から得られたカメラ厚、SDCによる熱解析等)と比較して関連性を考察した。その上ですべてのデータを矛盾無く説明できるモデルを構築、コンピュータシミュレーションによってそのモデルの妥当性を検討した。これらの実験結果から、融液からの高分子の結晶成長において、高分子特有の記憶効果というものが存在し、成長以前に与えられた熱履歴が、成長する結晶のモルフォロジーや球晶成長の一次核の生成過程に大きく影響を与えることがわかった。
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